ロボットとは人を映し出す心の鏡である

石黒 浩

「ロボットとは人を映し出す心の鏡である」著書より: 全ての研究は人間理解に通ずる。携帯電話や冷蔵庫などの製品が日々デザインや機能を変え進化するのは、製品を人間が実際に使うことにより、人間が求めていることわかるからである。製品の使い方などを通じ、人は人間の特性を知ることができるのである。 「人間」を作りたい。人間を作るには人間を知る必要がある。人間を知らないまま人間を相手にするアンドロイドを作るというジレンマの中、石黒氏は日々研究を重ねている。 博士は、彼自身のコピーともいうべき「アンドロイド」を作り、遠隔操作を試みる。操作の内容を変えることで色々なことがわかってくる。例えば、遠隔操作しているアンドロイドと「感覚」を共有できること―自分のコピーであるアンドロイドの顔に触られると、自分はその場に居ないのに、自分自身が触られているような感覚を覚える。 アンドロイドの遠隔操作はTV電話と違い、自分の存在そのものを送り込めるという特長がある。自分の肉体がそこに存在していなくても、まるでそこに自分がいるような感覚をアンドロイドと共有することが可能になる。さて、そう考えると、一体、人間の肉体とは、心とはなんなのだろうか。アンドロイドを通じ研究することで、人間を知ることができる。ロボットとは人を映し出す心の鏡である。

translated by TEDxSeeds

ロボットとは人を映し出す心の鏡である